ドメーヌ ジャン・クロード・ベサン
昔ながらの、引き締まった酸とミネラル分を感じさせるシャブリを生むつくり手
シャブリの町の北西、5キロメートルほど、フルショームの対岸に位置するラ・シャペル=ヴォーペルテーニュの集落に拠を構えるジャン=クロードが、ふたりの息子とともに12ヘクタールのドメーヌを運営。ジャン=クロードで現在4代目となるが、ドメーヌの歴史は19世紀後半の1878年まで遡ることができる。
12ヘクタールと割合広めの畑を所有するドメーヌのぶどうは、ヘクタール当たり6,200本という植栽密度で、平均樹齢はグラン・クリュのヴァルミュールが34年、プルミエ・クリュではモンマンが30年だが、フルショームには75年というヴィエーユ・ヴィーニュの区画もあり、平均で40年弱。ACシャブリが40年ほどといった具合。収穫は当然手摘みで、ヘクタール当たり35から40ヘクトリットルというかなりの低収量に徹している。
選果は畑でおこない、すぐにドメーヌに運んで直ちに圧搾。デブルバージュの後アルコール発酵となる。ACシャブリとフルショームは20から80ヘクトリットルの小さめのタンク――近年発酵槽をコンクリートからイノックスに替えた――での発酵だが、グラン・クリュのヴァルミュールとプルミエのモンマンは、最近一部樽発酵を取り入れるようになった。熟成もこの2銘柄には2割ほど樽を用いる。その後マロラクティーク発酵もしっかりおこない、数回のオリ引きを経たのちに軽く清澄し、フィルターをかけて瓶詰め。低温での酒石落しはおこなわない。
できあがるワインは当然アペラシオン毎に風味、味わいともに異なるが、いずれもシャープな酸がバックボーンを支えながらも、ふくよかさを感じさせるバランスのとれたもの。その典型がACシャブリで、キリッとした味わいに北の大地のテロワールが十分に体現されている。プルミエ・クリュになるとキレに厚みが備わるが、フルショームとモンマンでは味わいは異なり、フルショームのほうがよりまるみを帯びた印象。ヴァルミュールはさすがグラン・クリュと思わせる深み、複雑さが増し、より風格のある1本となっている。
たいへんポピュラーな銘柄のシャブリだが、その酒質は様々。昔ながらのキリッとしたタイプをお望みならこのジャン=クロード・べッサン、一押しである。 |